Act.02
屋敷に続く長い廊下を歩いていると、目の前に誰かがいた。
ちょっと、腰の曲がりが気になる、あのお方……。
「あっ!!じっちゃん。」
「久しぶりだな。ケイ。」
「久しぶり!珍しいな、じっちゃんがいるなんて。」
「イルがケイが来るといってな、会いにきたんじゃ。」
「そっか、うれしーな。」
「セナも元気そうじゃな。」
ケイの後ろからヒョコッと顔をだす。
ゴン、クラピカ、レオリオは内心、ギョッとした。
セナは表情を崩さず、答える。
「まぁーな。」
「そうか、そうか。」
「所で…」
セナから視線を外して、ゴンたちのほうを見る。
また、驚くのは無理もないこと。
「君たちがキルの友達か?」
「そうだよ。」
「そうか、仲良くしてやってくれ。」
「うん、当たり前だよ。友達なんだから。」
「そうか。」
自信満々に答えるゴンに、ゼノは微笑がこぼれた。
そしてシャナによろしくというと、ゼノは戻っていった。
一行は談笑しながら足を進めていくと、また影があった。
今度は長い黒髪のあの人…。
「イルミだ。」
「あ、ケー。遅かったね。」
「あぁ、じっちゃんと会ったんだ。」
「ふーん。そうなんだ。」
ケイとイルミを先頭にキルアの部屋に向かってぞろぞろと歩いていく。
大きい扉の前を幾つも通っていく。
何分くらい歩いただろうか、先頭の二人が泊まった。
「着いたの?ケイ?」
「あぁ、お前ら、クラッカーの準備しとけよ?」
「あぁ、任しとけ。」
「準備OKだ。」
ケイの合図を受けるとイルミはキルアの部屋の扉をノックした。
「キル、いる?」
「兄貴、何の用?」
「ちょっと、出てきてよ。」
「わかった。」
中から、キルアの声がした。
イルミの言う通り、部屋から出てくるらしい。
少し重い音がして部屋の扉が開くと、それより大きな音がゾル家の家に響いた。
それはクラッカーの音。
パンパーンっと軽い音が何重にも重なった。
祝いのクラッカーを鳴らし終えると、目の前のキルアはその猫目を見開いて放心していた。
はっとして、今の状況を分析している。
「はっ!?なんで、お前らがここに。」
「今日はキルアの誕生日でしょ。だから、オレ達お祝いに来たんだ。」
「そうだっけか。」
「なんだ、お前。自分の誕生日も覚えてねーのかよ!?」
「痴呆が進んでいるなら、病院にいくべきだな。」
部屋の前で話すのも何なので、キルアはケイ達を部屋に招いた。
イルミはキルアにプレゼンと渡して、自室に戻ってしまったが。
その時のケイの哀しみようといったら……。
キルアの部屋に入ると、中は割りと整頓されていた。
綺麗好きなのでしょうか…。
いや、片付けてるのはメイドだろう。
ケイがテーブルに今まで手に持っていた物を置いた。
バサっと上の布を取り去ると、下には見た目にも美味しそうなケーキがあった。
「じゃーん。ケイ様、特性ケーキ。食いやがれ。」
「おぉー。」
甘いもの好きのキルアから、歓声が上がった。
ケイは祝い事とあって、普段よりテンションが上がっていた。
もちろん、それは他のみんなも同じなのだが。
そうして、キルアの誕生日パーティーは幕を上げた。
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