Act.42
















スピード違反で捕まるくらいのスピードでバイクを走らせる―――。



「シャナ、目的地まであとどれくらいだ?!」

「30mもないわ!急いで!!」


ナビゲート画面を見てシャナが言った。





風をきって走るバイクの中でシャナはメールの文面を思い返していた。



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親愛なる愛し子のお義兄様並びにお義姉様

今まで私のオレンジの髪の愛しい子を育てくださって感謝しています。
ですが、そろそろ帰して頂きましょう。
貴方がたもさぞかし十分幸せに暮らせたことでしょう…。
近々、愛し子を迎えに参ります。
その際は予告なく現れますのでご容赦を。


義妹の外出の際は是非にお供を―――。

追伸
お2人にお会いすることが出来ずとても残念に思っています……。


****





(……セナ、どうか無事でいて…。)



――天を仰げば、貴女の顔が浮き上がった。

















+ + +















「………ぅ……ん…。」

「おや?目が覚めたようだね……。」


セナが暗闇の中パッと目を見開くと目の前には、椅子に座った中年の男がいた。
憎たらしいことに、男は紅茶を悠々と飲んでるではないか。


「ッ!!」


殴り掛かろうとセナは身体を動かしたが、それは叶わなかった。

(くそっ!身体ごと椅子に括り付けてある……。)

余りにも雁字搦めにしてあるのでオーラで力を増力させようと思ったが、何故だか上手くいかない。


「念を使っても無駄だよ…。それはオーラを吸収するように造らせた特注品だからね。」


親が子を嗜めるような独特の口調で男は言う。



「ふざけるなっ!早くここから帰せ!!」

「それは無理なお願いだよ。お前の大事な二人に会うまではね。」
「どういうことだっ!!…まさかっ!?」

「そのまさかだよ。」


男は少し下がった眼鏡を指で押し上げ、続けた。



「あの二人を始末しないことにはお前は自由にはなれないからね。」

「何を馬鹿なこと…!!」
「馬鹿なこと?子を自由にしてやるのは親の義務だぞ…?」
「いい加減にしやがれ!何が親の義務だ!!俺をここから帰しやがれ!!!」


「女の子がそんな乱暴な言葉を使うものじゃないよ、セナ?もっとおしとやかにしなきゃね。」


虫も殺さぬニコニコした顔で男はそう言った。













+ + +


















――ケイとシャナがオレンジ・エンジェルストリートに着いたのはちょうど夕暮れ時だった。


辺りはオレンジ色に染まり始め、通りには人一人居ない。

まるで、芝居が終わった後の温度のない舞台のように……。





「……人一人いないじゃない……どういうことなの…?」
「チッ…最初から罠だったんだ!!この場所自体が!」
「え!?」
「おかしいよな。外出する二週間ぐらい前から今まで廃れていた場所が流行るなんて…。
あいつ等…全部調べてやがったんだっ。オレ達の行動全てを!!そしてその範囲も!!」

「…あれ以来全く動く気配が無かったから…甘かったわ……。」



「……取り合えず、店を虱潰しに探していこうぜ。気をつけて行こうぜ…!」
「えぇ。」















「どうやら、お2人―ゲスト―が到着したようだね……。」



(……シャナ…ケー……。)
















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あとがき
行き成りですが補足説明。
シャナが中盤にいっていた「あれ以来全く動く気配がなかった」についてです。
前に一度(セナを拾って数週間後ぐらい?)セナについていた発信機(アクセサリーだったので気付かなかった)
によって居場所がばれて少々攻撃されたことがあるのです。
シャナはそれのことについていっています。
その後、セナについていた発信機をぶっ壊し、「折角だし」とケー達は今の家(D House)に住み始めたのです。

↑今テンパってるので意味が解らなかったらごめんなさい。
兎に角そういうことです;;


はぁ、やっとそれぞれ(の場面)の時間が同じぐらいになりました。


10/31/05 Ryuga Naoto