Act.41
「……やっと……来たんだね……セナ………。」
暗闇の中でテノール声が響いた……。
その刹那、部屋の明かりが一瞬にして点いた。
「!?」
「会いたかった……私の愛し子…セナ……。」
「…あ、アンタは………ッッ!!」
+ + +
「こ、このメール……。」
「…メールがどうしたんだ?」
シャナの声が余りにも震えているので、ケイは本から顔をあげた。
重い腰を上げて、シャナの居る方へ近づいた。
「どれどれぇー?」
「……ありえないわ……こんなこと……。」
パソコンの画面見た瞬間、ケイの顔から血の気が失せた。
「な、なんだよこのメール!どういうことだよ!!」
「わ、分からないわ…で、でも……!」
「でも……確実にセナが危険に晒されてるってことよ…。」
ケイの頬を嫌な汗がつたった。
――頭の中で誰かが言った“これは嘘だ”と……。
ケイはポケットから携帯を取り出すと、履歴からある番号を選ぶと通話ボタンを押した。
――数コール後、持ち主が出た。
「もしもし、クロロか?」
『オレだが?…どうしたんだ、慌ててるな。』
「セナはとっくに出たよな?時間になっても帰ってこないんだ!」
昼に帰るって言ってたのに、電話の向こうでケイが呟くのが聞えた。
クロロは一瞬“いつものセナコンか”と思ったが、ケイの様子からするとその考えは間違っていた。
「クロロの自家用機借りてったんだろ?」
『あぁ、そうだ。』
セナが帰るといった時間から既に3時間弱を過ぎている。
「それがいまドコに在るか分かるか?」
『…ちょっと待っててくれ、シャルナークに調べさせる。』
「……分かった……。」
『ケー…取り合えず落ち着け。』
それに対してのケイの回答は沈黙だった……。
携帯の保留状態から数分後、クロロに変わってシャルナークが電話に出た。
『もしもし、ケイ?』
「…シャルか…どうだ?分かったか。」
『うん、多分これで合ってると思うよ。シャナのパソコンに送るね。』
「わかった。ありがとな…。」
『気にしないでよ。オレとケイの仲でしょ?』
「…はは…そうだな。」
小さく呟いてケイは電話を切った。
そして通話を終わらせてから一分も経たない内にシャナのパソコンがメールの着信を知らせた。
「…シャナ、場所は?」
「……オレンジ・エンジェルストリート…巷では有名なスイーツ店の名所よ。」
「ってセナが行きたがってた所じゃないか?」
「えぇ…雑誌でも取り上げられてるし………誘拐の場所にはピッタリじゃない……。」
「畜生ッッ!!セナの行動をよく熟知してやがるっ!」
ケイは勢いよく本をテーブルに叩きつけた。
「あそこじゃ、ここから距離があるな……。」
「兎に角急ぎましょ!流星街の方が近いからゲートで移動してバイクで飛ばせば直ぐに着けるわ!」
「あぁ。」
2人はガレージに急いだ。
+ + +
「…あ、アンタは………ッッ!!」
「忘れたのかい、セナ?私は……。」
背の高い中年の男が一歩一歩ゆっくりと―獲物を追い詰めるライオンのように―近寄ってくる。
「うるさいっっ!!アンタは赤の他人だ!!」
抵抗しながらも、それ比例して逃げ場のない部屋を―追い詰められた野兎のように―後ずさりしていく。
「赤の他人呼ばわりは酷いじゃないか……―――に向かって――。」
「アンタは――なんかじゃないッ!!」
そのオレンジの髪を振り乱して、頭を横に振り続ける。
「落ち着きなさいセナ…私の愛し子よ…。」
「黙れ!人殺しッ!!」
「では…仕方ないな……。」
背の高い中年の男がそう言った瞬間セナの視界は真っ暗になった。
「…ち…く…しょ…ぅ……。」
背後に回られたことにも気付かず、首に手刀受けてセナは床に倒れこんだ……。
それを見届けると、中年の男は壊れ物を扱うが如く優しくセナを抱き上げた。
「さぁ……大事な妹を奪われたお兄さんとお姉さんは一体どうするかな………?」
男は口元にシニカルな笑みを浮かべて、部屋を後にした―――。
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あとがき
場面が分かりにくかったらごめんなさい<(_ _)>
書くのでホント一所懸命です。
いままでこんなマジメに書いたことあったかな……きっとハンター試験のイルミ対キルア以来じゃないかな…(マテ
悪役出すのって思って以上楽しいね(*´∀`*)
そしてこのおじ様には秘密が……!
てか…バレバレですかね……。
ごめんなさい…展開読みやすくてorz
そしてまた連続で書き上げます!
次回もお付き合いください!!
10/31/05 Ryuga Naoto