Act.40
















次の日の朝――。


『自家用機借りるから、帰るの昼ごろになるー。』
「あぁ、わかった。寄り道すんなよな?」
『分かってるってv』
「あ、皆によろしくな。」
『はーい。』


ケイは電話の受話器を置くと、キッチンに戻って洗い物を再開した。














+ + +


















「ねぇ……ケー…コレ…。」


リビングでメールの処理をしていたシャナがテーブルの向こう側で読書をしているケーを呼んだ。


「あ?どうしたんだ、シャナ。」

「こ、このメール……。」



青ざめた表情でケイの方を向き、ノートパソコンの画面を指差す。


「ッ!?」





時間はもう約束―昼―をとうに過ぎていた……。






















――その数時間前……セナの降り立った賑やかな街。




「ケーは寄り道するなって言ってたけど、やっぱりお腹は空くもんねー。」



セナはお腹を探りながら、周りの飲食店を見渡した。



実はこの場所はグルメの中では有名な所で、様々なスイーツ店が犇めいているのだ。
家からは結構遠く、来る機会も無かったのでセナは浮き立っていた。



「さーて、どっから行こうかなっ。」


「新装オープン記念、新作試食会でーす。どーぞいらしてくださーいvv」

「およ?」


セナがきょろきょろしていると、直ぐ横の店の呼び子の声が高らかに響いた。


「どーぞー。そこのお兄さん如何ですかー。」
「へぇ…ちょっと寄っていってみよう。」
「ありがとうござまーす。一名様ごあんなーい!!」

「「「いらっしゃいませー!!」」」


店に入ると可愛らしいエプロンをした女店員達が一斉に出迎えてくれた。

内装も可愛らしく、店の雰囲気もゆったりと寛げる感じだった。
新装の所為もあって若い客で賑っていた。


(結構いい感じなお店だねー。今度誰か誘おうーっと。)



店員に案内され、椅子に腰を下ろした。
それと同時にテーブルにはメニューが置かれた。



「只今新作ケーキが無料で召し上がれますが、どうしますか?」
「じゃぁ、それで。あ、あとミルクティーお願いします。」
「畏まりましたv」


店員が軽く頭を下げ、セナはメニューを手渡した。


(平日なのに賑ってるんだなぁ…楽しみだぁv)




――数分後。


「お待たせしましたー。ご注文の新作ケーキとミルクティーになります。」
「どーも。」
「どうぞごゆっくり〜。」



(あ、見た目うまそー。)



新作ケーキ―カボチャを使ったケーキ―を一口分に切りって口に入れる。


(カボチャの甘みがっ…!)


はぐはぐと凄い勢いでセナはカボチャケーキを平らげた。


「ふー。美味しかった。」


食べた後にはミルクティーを飲むのも忘れずに。




食べたタイミングを見計らったのか、店員がセナに話しかけてきた。



「新作ケーキの味は如何でしたでしょうか?出来れば向こうの別室でアンケートに答えてくださいv」
「…いいよ…結構美味しかったし。」
「ありがとうございます。では別室にご案内いたします。」


セナは席を立って、店員の後についていった――。






「こちらで御座います。」
「あ、どーも。」
「中に係りの者がいるので指示に従ってください。」


セナは店員に背中を押され、半ば強引に部屋の中に押し込められた。


「わっ、あ、ちょっと…!」





――バタンッ





係りのものがいると言っていたのに……セナ呟いた。



案内された部屋の中は真っ暗だった―――。



















「……やっと……来たんだね……セナ………。」




張りのあるテノールの声が暗い部屋に響いた―――。






















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あとがき
連続で頑張って書いてます!
セナ編もいよいよ中盤…??

時間軸が所々ずれてるので読むの大変ですかね……。
次回もころころ?移るのでよろしくです…;;

さぁ、これからどうなるんでしょうね。

そして記念すべき40話……!(ぇ


10/31/05 Ryuga Naoto