Act.38














「あ、このマドレーヌ美味しー。」
「そうかい?気に入ってもらえてよかったよ。」

「ほらセナ、このタルトも食べなよ。」
「サンキュー、シズクぅ。」



(パク遅いなぁ…アレってなんだろう……。)



セナは色々な御菓子を進められながらも、それだけは忘れていなかった。


(あ…なんか眠くなってきたぁ………。)


そう思うと、セナは持っていたタルトを手放さずに深い眠りの中に落ちていった。



「あ、寝ちゃった。」
「ふぅ、やっとクスリが効いたみたいだねぇ。」



――ガチャッ


部屋のドアが開くと大荷物をもったパクノダが入ってきた。


「お待たせ。セナ、寝たみたいね。」


「今さっきだけどね…。コレだと30分ぐらいで起きると思うよ?」
「…じゃぁ、早く仕度しなきゃだね。」



「「「ふふふふふふふふ……。」」」



女3人の怪しい笑いが部屋中に響いた……―。

これから一体何が起こるのやら……。















『まぁ、とっても似合っているわ。セナ。』

『本当にー?』

『あぁ、お姫様みたいだよ。』

『わーい!!ありがとー、パパー。』
















「…はは…お姫様ぁ……。」


――自分は夢を見ていたらしい……。


(また、懐かしい夢を……)




「あ、パク。戻ってきてたんだぁ…?遅くてつい寝ちゃった…ねぇ、話って何…?」


「あぁ、目が覚めたのね、セナ。」
「うん…。ごめん、寝ちゃったぁ。」




「予想より、5分早いね。」
「でも、メイク終わってるから平気だよ。」




「マチ、シズク?何端っこでヒソヒソしてるの?」



少し遠くに居た2人に近づこうと立ち上がった瞬間、セナは違和感を覚えた。


自分の今日の服装は……?


顔を下に向けてみる……。



――えっとぉ………メイドさん………?



「えええっっ!!!!!!!え、俺誰!?俺メイドさん?!!えっえっ!!!!!」




「あ、やっと気づいたんだ。」


プチパニックを起こしているセナの横でシズクが飄々と言った。




「まぁまぁセナ、落ち着いて?」

「うん……でも何でこんな格好してんの?俺。依頼と関係あるとか言わないよねぇ?」
「言わずもがなよ、セナ。」

「やっぱりそうなんだぁー!!!!!」




「では、改めて依頼内容を……。」
「えっぐ、えっぐ…。コスプレじゃないよねー?」

「んー、当たらずとも遠からじってとこだよね。」
「そうねぇ。」

「ズバリ。私達の為にこれらの服を着て写真取らせて欲しいです。」
「酷いマチ…!そんな張り切って言わなくても……。」



めそめそと泣き出すセナ。


「でもさ、なんでこんなに服があるのさ。」


だが即座に泣き止んで、3人に疑問をぶつけた。




「それはね……」

「仕事の帰りとかに“これセナに似合うなー”とか思った服を……」

「ついつい盗って来ちゃって、何時の間にかこんなに増えちゃって……」

「…というわけだよ。」


(悔しいほど、見事な割り台詞……。)
因みに、シズク→マチ→パクノダ→シズクという順番だ。



ツッコミどころが違いやしませんか、セナさん。






「で、それが依頼となんの関わりがあるのさぁ。」


ぐすっと鼻を啜りながら言った。


「それはこんなに増えちゃったんだし、責任取って本人に着てもらおうと……。」
「…責任って……。」


項垂れるセナ……3人は悪びれた様子もなく続けた。



「「「だ・か・ら。責任とってね?セナ?」」」


「うわぁーん!!!!やっぱりキャンセルすればよかったぁーー!!!!!!」





その後セナはマチ、パクノダ、シズクに散々遊ばれたそうな……。








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**遺言**
あ、終わりが前と被った;
楽しんでもらえたかなぁ…(;一_一)


07/02/05 Ryuga Naoto