Act.36
ここは3人の家の地下室。北の門を含める数個の門がある部屋である。
「えーっと、北ののは何番目だったっけぇ。」
「あ?左から2番目だって…。少しは覚えろよなぁ……。」
ケイはげっそりしながら言った。
それぞれの門(というか扉)には特有のシルシとか模様とかがあるのだが、セナはそれらを全く覚えようとしなかった。
本人曰わく「めんどくさい」らしい。
まぁ扉も結構な数なので、それも仕方がないことなのだろか…。
「セナぁ、ヘルメットしたかぁ?」
バイクのエンジンをフカシながらヘルメット越しに言う。
「OK!準備完了!!」
準備完了とは言ったもののセナはヘルメットは被っていなかった…。
セナもお菓子を抱えて横のシートに乗り込んだ。
「お前なぁ……。」
ケイは呆れてものも言えないと見える。
「大丈夫だって。着く頃には全部食い終わってるからさ。」
「…くれぐれもシートを汚さないでくれよ…?」
「わかってるって」
(絶対わかってねぇな、コイツ…)
因みに2人が乗っているのは車体の左側(又は右側)に荷物や人が乗せられるシートが付いているサイドカーというバイクである。
「じゃぁ、行くぞ…?」
「おぅ!!」
「掴まってろよ?トばすからな。」
「お菓子が吹っ飛ばない程度ならいいよー。」
「………………。」
ケイ…さっきからペース乱されっぱっなしだねぇ(しみじみ)
何かキミが哀れに思えてきちゃったよ………。
気を取り直して話を進めましょうか………。
「ヘルランドゲート-ON」
ケイが叫ぶと眼前の扉がバッと開き吸い込まれるように2人は忽然と消えていた。
−ヒュッ!!
−パッ!!
一方ここは所が変わって、流星街の入り口。
目の前には、小さな蝿や鳥(主に鴉)や砂嵐に紛れた木製のドアがあった……。
−ブォンッッ!!
木製のドアからいきなりバイクが飛び出してきた。
「流星街入り口とーちゃーく!」
ヘルメットを取るとケイは頭を振った。
「セーナー?着いたぜぇ?」
「………zzzzzz………」
「……寝てやがる………しかもヘルメットしてないし………。」
今頃気付いたんだ!?
気付くの遅すぎだよ、ケイ。
「ったく、しゃぁねぇなぁー…中までまで送ってやるかぁ……。」
ケイはもう一度ヘルメットを被り、エンジンを奮い立たせた。
『ほら、セナ。花冠が出来たわよ。』
『わぁー!スゴいね、お母さん!!』
『うふふ。ありがとう。』
何処かの花畑母が作ってくれた花冠を被って、俺はまだ少女だった日々を幸せに送っていた。
でも、あの日は突然やって来た…………。
母さんが殺されたあの日が……。
はっきりと覚えているのは泣き叫ぶ自分の声と目の前で銃に撃たれて死んだ母の姿だけ。
そこに俺達を守ってくれるはずのアイツの姿は何処にも見当たらなかった。
『か、か、かぁあさーーーん!!!!!!!!!!!!!!!!』
でも後でわかった、アイツは傍にいたのだと。
アイツは母さんを見殺しにしたんだと………。
「…ぁ…な…ぇな…せなぁ…セナ…セナ…セナ!!!!」
「…ぬー?」
「ぬーじゃねぇよ!流星街着いたぜ。感謝しろよ?ここまで送ってやったんだからな。」
「……うん…。」
(…いつの間にか寝てたんだ……はぁ…またイヤな夢見ちゃった…)
「ほら、さっさと仕事いってこい。」
「イエス・ボス…。」
セナは寝起きのトロ目で敬礼の真似事をする。
「ダメだ、こりゃ…。」
ケイは本日何度目かの脱力感を感じた。
そしてセナは廃墟街のなかへと消えていった。
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***今日の懺悔***
結局北の門とかに説明出来なかったですね…。
なので補足ということでここに書いときまーす。
能力名―時計兎の通り道『ヘルランドゲート』
使用者―ケイ
繋げたい場所に同じもの(或いはシルシ)を置くことでその場所へ空間を繋ぐことが出来る。
ケイ無しでも空間を通ることは出来るが、異次元から帰れなくなるので注意。
何だか乙女チックな能力名だなぁ…。(でも変わる確立多いよ)
次回は割とギャグになるかなぁ……?
でもめんどくさいから話が飛びそう。
でも旅団メンバーと喋らせたいなぁ………。
因みに今回は全て携帯で打ちましたー。
右腕超痛いわぁ;
05/31/05 Ryuga Naoto