Act.35












――嗚呼、俺と同じ髪をした貴方は一体誰だったか……。









『お前は私から逃れることは出来ない…。決して…。』


――アンタは母さんを見殺しにした。俺はそれを一生忘れない。


『ダフネのことは忘れなさい。あれはもう死んだのだ…。』


――俺はアンタを憎んで生きていく。この憎しみを癒すことは何人にも出来ない。


『お前は私の娘だろ…?』


――違う。俺はアンタの子供なんかじゃない。言い成りになどなるものか。


『いい子だ……セナ…。』


――うるさい! うるさい!! うるさい!!! うるさい!!!! 黙れと言っている!!!!


『…忘れなさい。私の愛し子よ…。…あれはもう死んだのだ。』







「うるさいっっ!!!!!!!黙れぇっっ!!!!!!!!」







「…はぁ…はぁ…はぁ……。」



叫んで夢から醒めた。

荒い息で夢ではないことを自覚する。

セナの身体は寝汗でぐっしょりと濡れていた…。




「……今更…こんな夢を見るなんてな……。…ったく…。」




口元に薄笑いを浮かべて、片手で顔を覆った。
夢の中の声の所為で頭が殴りつけられたようにガンガンしていた…。





――コンコンッ





数分程たった後、セナの部屋ドアがノックされた。


木の軽い音が部屋に響いた。
セナが返事をすると、ドアを開けてケイが顔をのぞかせた。



「セナ、何時まで寝てるんだよ。今日は仕事に行くって言ってたじゃねぇーか。」
「…あぁ…そうだった、そうだった…。」
「おら、飯できてんだから、さっさと食ってさっさと出掛けやがれ。」
「…んー…りょ…ぉかい…。」

「はぁ〜…。早くしろよぉー。」
「うーん…。」


セナの低血圧は何時ものこと。
ぼっとしながら、ケイと話していた。




そしてセナはのろのろと着替え、階段を下りていった。
何時も通りケイお手製の朝食を食べると一度自室に戻って軽く荷物を纏める。



「あー、クロロの依頼たるいなぁー。今更だけど、受けるんじゃなかった。」
「じゃぁ、キャンセルするの?セナ。」



セナがぼやいているとシャナが後ろから話しかけてきた。



「あっ、シャナ。んー、どうしようか迷ってるんだよねぇー。」
「そうなの。でも、ケーも用があるからバイクで送ってくれるって行ってたわよ?」
「ホント!?」
「えぇ。モナカも買わなくちゃいけないっていってたわ。」
「じゃぁーいくー。」
(ホントに食べるのが好きねぇ。)



シャナはそんなセナが可愛くて思わず微笑んでしまった。



「もっなか。もっなか。んっん〜ん。」
「フフッ。ケー、北の門で待ってるわよ。」
「わかったぁー。じゃぁ、いってきま〜す。」
「はい。いってらっしゃい。」






ここで言っておこう、今セナの頭の中はモナカのことでいっぱいである。
クロロの依頼のことなんか頭の端っこにすらない。






さぁ、いざ北の門へ!!




いや、最中の元へだろ…絶対…。

ケイがセナの言葉を聞いてこう思ったことは言うまでも無い。







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**イイノコスコト**
のっけからなんかシリアス〜。
『北の門』については次の話で説明します。
はぁ〜、マジで久しぶりに書いた……。

感想お待ちしております。