Act.29












ナニかからオチル感覚、薄れていく遥かなる記憶。




なにかに揺り起こされるように、ケイは眠りから覚めた。



「ん……。…ココ…どこ。」



眠たい眼を擦ると、目の前には見慣れた顔があった。
水色の髪にフェイスペイント――ヒソカだ。



「あれ、ヒソカ。おはよう。」
「遅いお目覚めだね、ケイ。」
「……イルミは?」
「あっちにいるよ?」
「あっそう……。」



ケイはまだ眠そうだ。



「なんか、うなされてたけど。怖い夢でも見たのかい?」
「…うなされてた?オレが?」
「少しね。」
「…ふ〜ん…。」



ヒソカの言葉に受け答えながら、また眼を擦る。
すると、ケイの頬に一筋の乾いた線があった。



―――涙…?



ヒソカは自分がうなされていたと言っていた。
コレはそれと関係があるのだろうか…。

確かにナニかの夢を見ていたのは覚えている。
でも、今思い出そうとすると、ソレに靄がかかって思い出すことが出来ない。

ずっと、探っているうちに頭痛がしてきた。



「痛っ!」
「大丈夫かい?ケイ」
「…うん。…多分ネ…。」
「もうすぐ、君のうちに着くよ?」
「あぁ、サンキュ。」






何気なく視線を変えてみると、自分の隣ではセナが寝ているのに気付いた。







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