Act.30
(どっちかの)自家用機の真下からは、数週間前出発した自分の家が見えた。
ナビゲーションの自動着陸システムに則って、イルミの自家用機は着陸した。(さっき、どっちのか聞いた)
「よっと。サンキュー、イルミ。」
「どういたしまして、ケー。」
ずっと眠りっぱなしのセナを担いで、ケイは送ってくれたイルミに礼をいった。
「ボクにはないの?ケイ。」
「あー、はいはい。ありがとーございましたー。」
(ココロが篭もってないよ……。)
「ヒソカ…。これから、お迎え呼ぶか?」
ハンター試験の時同様、殺気を振りまくケイ。
彼が言う“お迎え”とは、あの世へという意味であることは勿論お分かりだろう。
ヒソカと雑談していると、自宅の玄関からシャナが出てきた。
「お帰りなさい。ケー。」
「おう。ただいまぁ。」
シャナに返事を返すのだが、ケイはまだ眠そうだ。
さっきから欠伸のしどうしだ。
「なんだか、眠そうねぇ。」
「あぁ。セナも重いしなぁ〜〜。」
また欠伸をする。
すると、気付いたようにケイがいった。
「そうだ。イルミ。」
「何?」
「送ってくれたお礼に、茶でも飲んでけよ。」
「そうね。それはいいわ。」
「いいよ。時間あるしね。」
(ボクのこと省いてない?)
「ヒソカもいらっしゃいよ。」
「えっ。いいのかい?」
「もちろんよ。2人を送ってくれたんですもの。」
「じゃぁ、お言葉に甘えさせてもらうよ。」
こうして、5人は家のなかに入っていった。
ケイたちの家の中は独特の匂いがする。
なんとも、いい華の香りがするのだ。
「ケーのウチにくるの、久しぶりだね。」
「そうだったけか?」
「最後に来たのは、去年の夏だったからね。」
「あっそか。あん時は仕事が忙しかったからな〜。」
「うん。」
「じゃぁ、今度泊まりに来いよ。」
「そうだね。再来週まで仕事あるから、その後に来るよ。」
「あぁ。」
「そうだ。ヒソカも来いよ。」
「わかった。イルミと一緒に行くよ。今、手が離せないんだ。」
「わかった。」
ケイはセナを2階に置いてきて、イルミとテーブルを囲んでいた。
シャナはというと、また忙しく仕事に戻ってしまった。
ヒソカは……ケイのペットのホワイトタイガーと睨みあっていた…。(なぜに?)
久しぶりの我が家で流れるのは、至福というささやかな音色。
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