Act.17











風通りのよい樹の上、ケイはそこを寝場所に定めた。
そして周りにトラップを仕掛けて、眠りについた。







ボーーッと船の汽笛の音が聞えた。
放送の声も聞えてくる。
そんな中ケイは目を覚ました。



「やぁ、おはよう。ケイ。」
「ん…、ヒソカか…。」



ケイが目を覚ますと、何故かヒソカの顔が自分のすぐ横にあった。
しかも、移動中らしく頬に風が当たる。

今の状態を冷静に見てみると、ヒソカがケイを抱いて移動しているのが分かった。
しかし、これはただ抱いているワケではない。
乙女なら皆一度は憧れる、お姫様抱っこだっっっ!!!!




「ヒソカ…。」
「なんだい?ケイ。」
「これはどういうことなんだ。説明してもらおうか。」
「これって。」
「これだよ。これ。この体勢!!」
「あぁ、姫抱っこのことかい?」
「それ以外に何がある。」




(誤解を招くといけないので)説明しよう!!
ケイはいったって普通の21であって、御法度野郎ではないぞ!!
Hisokaはどうだか知らんがな!

ケイに突っ込まれ、渋々ケイを己の腕から下ろした。
ヒソカは当然走っていたので、必然的にケイも走る事になった。



「ところで、ヒソカ。」
「何だい?」
「セナの場所、わかるか?」
「あぁ、彼女なら、もう少し先にいるよ。」
「そうか。」



この会話が終わると二人は無言のまま、セナのいる場所まで走っていった。
そしてセナを拾って、スタート地点まで進んだ。



スタート地点について、ケイは抱えていたセナを地面に座らせた。



「おい、セナ。起きろ!」
「…ん…ケ…イ…。」



セナは未だ夢見心地で、ぼやけた瞳のままだ。
ケイお得意の揺さぶりで現実に戻す。

それでも起きないので、セナをまた抱えて飛行船に乗った。



「重そうだねぇ。ケイ。」
「じゃぁ、変われ。」
「そうしたいのも山々だけど。セナがなんて言うか。」
「それも、そうだな。きっと“触るな、変態がうつる”とか言うだろうな。」
「……だろ……。」



だろっと言ったヒソカの顔は少し涙ぐんでいた。







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