Act.16











「はぁ?リミットになったら迎えに来いだぁ〜。」
『そうだ。割と海に近いから、円使ったら、すぐ分かるだろ?』
「まぁな。」
『じゃっ、そゆことで。俺はもう寝る!』
「あっ、こら、待て!!」



セナはそういうと、電話を切ってしまった。



「くそ〜、セナの奴、電話切りやがって…。」



行き成り電話を貰って、また行き成り電話が切れたので、文字通りケイは不機嫌そのもの。
セナに対して文句タラタラ。
余程、パシリ(大袈裟)にされた事が、気にいらならしい。

電話を切られた後、背景に黒いモノを漂わせながら、ブツブツと呟いていると、ケイに向かって何かが跳んできた。
跳んできた何かは、ケイのすぐ横にあった樹の幹に刺さっていた。
よく見てみると、跳んできたのは吹き矢の矢だったらしく、先端の方には液体が塗られていた。



「敵さんのお出ましってか?」



ケイは楽しそうにその台詞をいうと、矢が跳んできた方向を見た。
すると、そのからガサッと音を立てて、男が出てきた。



「我の毒矢、よくぞ避けたな。」
(別に避けたワケじゃないんだけどな…。)



古臭い口調のその男は、利き手に吹き矢を持って、さぞ自分がツワモノのように振舞っていた。
ケイに言わせれば、レベルは最低の部類で、ゴンでも倒せるくらいの力量だ。

ケイが思考を張り巡らせている間も、古臭い口調の男は延々と喋り続けていた。
何を喋っていたかは、ケイがマジメに聞いて居なかったので分からないが…。



(いるんだよな、こうゆーやつ。運で乗り切って、それを自分の実力だとか言っちゃう奴。)



ケイは男の話をこれ以上聞く気はないので、さっさと終わらせることにした。
未だに、(なんの話をしているか不明だが)男は喋っているので、さっさと終わらせるべく、男のベシャリを遮ることにした。
遮る前にその男の胸をよく見てみると、四百の文字が!
ケイのターゲットだ。



(これはセナ勝るほどのラッキーかもしれない。)



ケイ自身、余程運が無かったのだろうか。
そういえば、女に間違われていたし。
ケイは、二日目のことを思い出していた。



(女に間違われたんだ、もうちょっと刻んでやればよかったな…。)



やめてください、ケイさん!
貴方のちょっとは恐ろしいです!!



ケイが心のなかで、いっそシャナにでもなっておけば良かったと思っていると、男は思う存分喋ったのか、満足で溢れた顔をしていた。
が、ケイが自分の話を全く聞いていないのに気付いた。



「貴様、我の話を聞いていたのか?」
「…ん?話?いや、全然。」



ケイがそう答えると男の後ろには、ハゲが撞いている大きな鐘が見えた。
ハゲといっても、ケイが揺さぶりまくったハゲではない。
一言で言うなら、身分が違う。

聖職者だな。あれは。



ケイが独り納得していると、話を(全く)聞かなかったのに腹を立てたのか男はケイに毒矢を放った。
ケイはその矢を見ることなく、今度は確実にかわした。
矢はケイに当たることなく、むしろ矢がケイを避けているように見えた。



「そろそろ、終いにさせてもいいよな?」



ケイはニカっと笑うと、男の横を通り過ぎた。
人目には、ただ通り過ぎたように見えるが、ケイの手にはしっかりと四百番のプレートが握られていた。
男もそれに気付いたらしく、ハッとしていた。



「これは貰っとくぜぇ〜。」
「い、何時の間に我のプレートを!!」
「さぁ、何時でしょう。」



ニッと微笑を貼り付けて、ドコゾの変態ロリコンの奇術師のような、口調で言ってみる。
流石に鳥肌が立って、肌が痒くならなかったが、吐き気がした。




ケイはプレートを奪うと、長居は無用とでも言うように、飛び上がって、枝の上に着地した。
そのまま、枝の続く限り、走ることにした。
走るといっても男は呆然と立ち尽くしていたので、追いついてはこないだろう。

立ち尽くしているのは、自分の力量に自信を持っていた証拠だ。
プレートを付けっぱなしにしていたのも、自分は絶対に盗られない、奪われないと自信がさせたこと。
それを失ったのだ、早々には立ち直れないだろう。
いまでもあの場所で、立ち尽くして、呆けているに違いない。






ケイはターゲットのプレートを奪ったので、無事六点分集まった。
後はこれを守るだけ。

ケイはセナ同様、リミットまで寝ることにした。
やっぱりパシリに使うのはアイツしかいない。



携帯の呼び出し音が鳴る。
五コールくらいすると、相手は電話に出た。



『もしもし?』
「おぉ、ヒソカか?」
『その声はケイだね。』
「あぁ、オレ、オレ。」
『で、なんの用だい?』
「あ、あのな…、ちょっと言いにくいんだけど…。」
『言い難い?君が珍しいね。何でも、言ってよ。』



このときヒソカは、これでケイの心は自分のモノになると確信した。
ケイは頼れる奴には弱いのだ。(ケイがいったウソ)




「そうか。じゃぁ、リミットになったら、迎えに来てくれ!!」
『いいよ。って、えっ!』
「じゃぁ、そゆことで!オレは寝るから。」
『え、あ、ケイィ!?』




――ッツーッツーッツーッツーッ




そして電話が切られた。
セナと同じことを言って、ヒソカを黙らせた。
さすが、家族!!






こうして、セナとケイは無事六点分のプーレートをゲットした。
はたして、二人に振り回されるヒソカの運命や、いかに!!!

頑張れヒソカ、必ず春は来る!!






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