Act.13











ケイとセナがヒソカで遊んでいると、何時の間にかゼビル島へ付くまでの自由時間の二時間が過ぎていたらしく、下船する時刻となった。



「あー、楽しかった。」
「まったくだな。オレもヒソカで遊んだのは久しぶりだぜ。」
「…………もう、いや。」
「「あはははは」」



船を下りる三人の表情はというと…。
ケイ、ヒソカで久しぶりに遊んだという満足感。
セナ、ヒソカで楽しんだ爽快感、いじめたという達成感。
ヒソカ、疲労困憊、心身ともに大いなるダメージ。
こんなカンジだ。







ケイとセナがゼビル島に入島したのは、ヒソカから遅れること一時間弱。
二人とも自分の番が来るころには、待ちくたびれていた。



「セナ、お前何番引いたんだ?」
「ん〜っと、三十六番。ケーは?」
「オレは…四百番。」
「誰それ。」
「わかんねー、適当に三人殺るからいいよ。」
「俺もそうしよーかなぁ〜。でも、めんどくせー。」
「まぁ、がんばれよな。」
「うん。」




話し終わると二人は、森の中へと別々の方向へ消えていった。








ケイが少し歩いていると鞄に入っている携帯がなった。



「誰だよ。んな時に。」



渋々ながらも着信も見ずに電話に出る。



「もしもし?」
『もしもし、ケーか?』
「あぁ、クロちゃんか。どうしたんだ?」
『何となく、電話してみた。』
「はは、なんとなくかよ。」
『悪いか?』
「あっ、今一人なんだ。それで、寂しくなって、オレに電話したのね。クロちゃん。」
『…うるさい。』
「もー、寂しがりやだな。相変わらず。」
『…………。』
「はいはい、黙んない黙んない。で、帰りに何持ってけばいいんだ?」
『世界の毒大辞典。』
「わかったよ。でも、持ってくのは再来週だからな。」
『構わない。』
「そうか、じゃーな。」
『お前なら、受かると思うが頑張れよ。』
「サンキュ。クロちゃん。」



クロロとの電話が終わると、何故かヒソカに出会った。
ケイは歩きながら当ても無く、歩いていたのだが、何たる偶然だろうか。
ケイの目の前には、切り株に腰掛けているヒソカがいた。



「やぁ、ケイ。」
「ヒソカ…か。なんだ、ヒソカか…。そうだ、ヒソカ、イルミは!!」
「そんなに愛しいボクの名前を連呼しなくても。彼なら、ソコ。」



ソコっといって、ヒソカが指で示したのは、少し山になっている地面。



「もしかして…寝ちゃったのか?」
「うん。君の来る数分前にね。」
「OH〜〜NO〜〜!!」
「ケイ、そんなに悔やまなくても。ボクがいるんだし。」
「あぁ、イルミ。君が土に潜る前にもう一度君が見たかった!!」



今のケイには、横にいるヒソカは全く眼中にない。
頭を抱えて、膝を地面について、激しく悩みまくっている。

それが終わると、ケイはヒソカに向き直った。



「どうしたんだい、ケイ。」
「ヒソカお前、血ぃ止まってねーぞ。」
「あぁ、コレね。大丈夫だよ。」
「雑菌は入ったら大変なんだぞ。応急処置してやるから、そこ座れ。」
「君はボクに毒舌かますけど、心ではやっぱりボクのことを…」
「思っとらん。」



間髪いれない、ケイの返答に少し放心するヒソカ。
船の上といい、今回といい、ちょっと不幸な役どころだ。



「つれないねぇ〜、君は。」
「つれなくていいよ。特にヒソカにはな。」
「酷いなぁー、ボクはアノ日から、君に夢中なのに。」
「あの日だぁ〜。」
「ボクが君に初めて会ったときさ。」
「あぁ、そんなこともあったな。」
「そしてボクは、君の虜になったのさ。」
「あー、そうですか。それは(良くないけど)よかったですね。」



ケイの手当てを受けながら(ヒソカにとっては)美しい思い出を語るが、ケイには全く相手にされず、ヒソカはアノ日のことを昨日のことのように思い出していた。

ケイの手当てが終わると、ヒソカは立ち上がった。



「さて、ケイに手当てもしてもらってことだし、ボクもそろそろ狩らなきゃ。」
「そうか。オレも早めに狩って、寝たいな。」
「じゃぁ、また一週間後ね。」
「あぁ。じゃーな。」








ケイは自分の前から去っていく二つの影を見送った。





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