Act.10









高い円柱状の建物の上に、受験者達はいた。
第三次試験の内容はこうだ。

制限時間――七十二時間内に、生きて下まで降りてくること。
ただそれだけ、しつこいようですが、それだけです。

受験者たちは攻略方法を模索する。
壁を伝って降りようと下もがいたが、怪鳥に喰われてしまった。



「うわー。あの鳥、キモッ!」
「ケイって、何時も酷いこと言うね。」
「そうか?オレは普通だけどな。」



三次試験になっても、ケイは相変わらずヒソカと一緒に居た。
今のも、ヒソカとの会話だ。


気付くと、回りの人数が減っていた。



「ヒソカ。なんか、人減ってねーか?」
「みたいだね。隠し扉でもあるんじゃないかな。」
「だな。よし!適当に探すか。」



こういう時は、バラバラに探した方が効率がいいので、別れて探すことにした。
床の音を聞き分けながら、時には床を叩いてみたりする。
そんなことを続けていると、隠し扉らしきものを発見した。
時間もないので、ケイはその隠し扉に入ることにした。


扉から降りると四面壁だらけで、ケイの正面の壁には何かが貼ってあった。



「ん、何だコレ。何々…この道をクリアしたければ、この向こうにいる百人の者に勝利すること…。
なお、目的は勝利することで、敗者の生死は問われない。っか、楽勝じゃん。」



それをよく見てみると、【挑戦する】っというボタンがあった。
ケイは何の躊躇いもなく、そのボタンを押す。
機械的な音をたてて、正面の壁が上に上がった。



「よし。さっさと終わらせるか。」



骨をポキポキと鳴らせて、徐々に上がっていく壁の中に入っていた。
暗い中を進んでいくと、黒い影があるのがわかった。



「お前が、挑戦者か。」
「まぁな、アンタ早く死んでくれる?」
「フッ、笑止。死ぬのは貴様だー!!」
「はぁ〜、オレ、強がりは嫌いなんだよね。」



名も分からぬ、その影はケイに向かってくる。
ケイのいる方が明るいので、一瞬影の顔が見えたが、そんなことはケイにはどうでもよかった。
ジャケットからサバイバルナイフを取り出すと、一気に鞘から引き抜いて、向かってきた影の頭を刎ねる。
相手は、自分が死んだのかさえ分からないまま、意識を失った。



「よし。次いっか。」



出だしは、快調である。













建物の中でケイが、ザクザク殺っている間、セナはまだ建物の上にいた。
ゴン達は既にいない。
トコトコ歩いていると、急に床が抜けた。
セナは隠し扉の真上に来ていたらしい。
思い切り、尻餅を突いた。



「いってーー!!くそっっ。」



壁を見上げると、文章があった。



「なんだ、これ。試験内容みたいだな。えっと、この合計百kgの重りをつけて、トラップの道を抜けてもらいます。
攻略時間は最高十時間です。なんだ、簡単じゃん。拍子抜け。」



当たりに目をやると、手枷と足枷があった。
それらを身に着けると、壁が開いた。
一歩踏み込むと、一気に滑った。
次の部屋から巨大スロープになっていて、セナはそれを滑っているところだった。

暫くすると、何かが転がる音がする。
後ろを向くと、これまた巨大な大岩がセナに向かって転がってきている。



「つまんねー、これから先も、こんなのばっかかよ。」



これのほかに、槍が飛んできたり、水が押し寄せてきたりするトラップがあった。
ちなみに、水が押し寄せて来たとき頭上からタライが降ってきた。
セナは軽々と交わしていたが。








――十時間後。


一回の幾つもある扉のうち、同時に二つ開いた。
片方の扉からはケイ、もう片方の扉からはセナが出てきた。
二人とも難なく、それぞれの道をクリアしたらしい。



「お、セナじゃねーか。」
「あ、ケー。服に血が付いてるよ。」
「マジ。百人も殺ったからな、ちょっとは付くさ。」
「そうだね。」



一般人が聞いたら震えるような会話をしながら、二人はヒソカの方へ歩いている。
二人とも、ドカッとヒソカの隣に座った。



「お疲れ、ケイ。」
「まぁーな。」
「ケー、動いたら腹減った。何かよこせ。」
「わかったよ。しかし、食い過ぎだろ、お前。」
「そんなに食べてると、太るよ。セナ。」
「うるせーよ、変態。俺は食っても体系変わんねーんだよ!!」
「そういえば、そうだな。」
「変だねぇ。セナ。」
「「それはお前だろ。変態。」」
「………」






刻々と時間は、過ぎていった。




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