Act.08









メンチの二次試験は合格者無しという最悪の結果になったが。
ハンター協会最高責任者――ネテロが現れたことで、状況が変りつつあった。

ネテロが飛行船から降りてきた。
すごい衝撃音がしたが、足は大丈夫なんだろうか。
木の上ではあまりあちらが何を話しているか聞こえないが、会話の内容は大体想像がつく。
結果、試験はやり直しとなった。



「お、話しまとまったみたいだな。」
「そのようですね。」
「じゃぁな。」



木の枝から立ち上がると、そのまま一歩踏み出し下りていった。



「ゆで卵。」



ケイが降りたとき、メンチの声が聞えた。
試験やり直しの課題は、ゆで卵になったらしい。



「会長、私達をあの山まで連れていってくれませんか。」
「なるほど。もちろんいいとも。」

「楽勝だな。」



ケイの口の端が少し上がった。

受験者全員、ネテロが乗ってきた協会の飛行船に乗り込む。
飛行船は二つに割れた山の頂上に降りた。
受験者達は飛行船を降りて、その山の割れ目にビクビクしながらも下を見てみる。
唾をゴクリと飲み込む。
そんな中メンチはブーツを脱ぎだして、「お先に。」といいながら山の割れ目に飛び込んでいった。
受験者の驚きのなか、ネテロが説明に入る。



「マフタツ山に生息するクモワシ。その卵をとりに行ったのじゃよ。」



続けてクモワシの説明を淡々としていく。
そしてメンチが崖をよじ登って戻ってきた。
手には市販の卵より、少し大きめの卵を持って。



「よっと。この卵でゆで卵を作るのよ。」



周りはこの試験に意気込んでる者と、引いている者の二つに分かれた。
ケイ、セナはもちろん前者だ。



「よし。取り行くか。」



ケイはそういって崖の淵に立って、ポケットに手を突っ込んだまま、頭から崖に落ちていく。
堕ちていく途中の適当な糸に、足を引っ掛けて止まる。
今までしまっていた手をポケットから出して、近くにある卵の房の中から、一個取り出した。
足を糸に絡ませて中吊り状態なる、そして器用に足を動かして壁に側にいく。
壁まで行くとあとは上るだけなので簡単だ。

上に着くと、大きな鍋(というか釜)が用意されていた。
その中に取ってきた、クモワシの卵を入れる。



「食べ比べてみて。」



メンチの言うとおりに出来上がった卵を食べてみる。
受験者達は、その旨さに舌鼓を打っていた。







ゴン達四人と一緒に居たセナは多めに卵を取ってきて、それを食べていた。



「セナ、食べすぎじゃない。」
「ダイジョーブ。ケーのスシ食ったら、何だか腹減っちゃてさ。」
「ケーって、さっきの背の高くて髪の長い、スシくれた人でしょ。」
「あぁ。アイツ、あー見えて料理上手いんだぜ。」
「へー、いいなぁ。」
「じゃぁ、今度食べに来いよ。」
「いくいく。」
「オレもいいだろ。」
「あぁ、なんだったら、四人ともくれば?」
「いや、それは…」
「心配すんなよ、クラピカ。」



四人はセナの家に遊びに(ケイの料理を食べに)行く、約束をしていた。
そのころケイは、くしゃみをしていた。



「はっくしゅっっ!!」
「なんだ、ケイ。風邪かい?」
「ちげーよ。おめーじゃ、あるまいし。」





セナ、ケイ無事二次試験合格!!



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