Act.3









いつの間にか、走る集団の先頭に来ていた、セナ、ゴン、キルア。
ハンターになりたい経緯を話していた。
ゴンが話し終わったところで、セナに回ってきた。



「セナはどうして、ハンターになりたいの?」
「あぁ、それは仕事に使えるからさ。」
「仕事?どんな仕事なの?」
「いろいろ。俺、縛られるの嫌いだから。」
「ハンター証があったら、色んなところにいけるだろ?」
「そうだね。」



楽しそうに未来の事を語っていた。

セナが話し終わると前方に光が差してきた。
出口が見えてきた。
ゾロゾロと薄暗い地下道から出てくる、少しは脱落者が出たらしい。
セナが前を見ると、そこには霧掛かった湿地が広がっていた。

受験者がほぼ集まると、試験官――サトツが説明を始めた。
どうやらこの湿原を抜けなければ、二次試験会場には行けないらしい。
セナがサトツの説明をダラダラ聞いていると、叫び声が耳に入った。



「ウソだ!! そいつはウソをついている!!」



そう叫んで、一人の傷を負った男がシャッターの閉まった階段の横から、ヨロヨロと出てきた。
そして登場するなり、サトツをニセ者呼ばわりする。
証拠とばかりにヌメール湿原に生息するという【人面猿】を持ち出した。
その男はベラベラと【人面猿】の特徴を喋っていった。
サトツは黙ってそれを聞く。
受験生のなかにも、サトツを疑い始める者もいる。

その時、試験官を名乗る男にトランプが刺さった。
一瞬にして、試験官を名乗る男は倒れていった。
よく見ると、サトツの方にもトランプが投げられていて、サトツは見事それをキャッチしていた。



「くっく。なるほどなるほど。」



トランプを投げたのはヒソカに間違いなかった。
投げた本人ヒソカはサトツに注意を受けていた。


受験者たちは死体に群がるトリを横目に二次試験会場に向かって前進していった。
また、マラソンが始まった。



話しかけて以来、ゴンとキルアと友達になったセナは二人とこの湿原を抜けていた。



「ゴン、セナもっと前に行こう。」
「うん。試験官を見失うといけないもんね。」



セナは喋らず会話を聞く、ヒソカのヤバさ(色んな意味での)は重々承知しているからだ。
キルアの意見でもっと離れることになった。
そのワケを聞いたゴンが後ろの方にいると思われる、クラピカとレオリオに大声で呼びかけた。
その光景に呆れているキルアと、そんな緊張感に欠けているゴンを笑っているセナがいた。

数分の後、男の雄たけび(叫び声)が聞えた。
どうやら、レオリオの声らしい。
ゴンはキルアの制止の声も聞かず、声のした方へ走っていった。



「なぁ、キルア。」
「ん?」
「レオリオって誰?」
「おっさんのことさ。」
「おっさん???」











ここはクラピカやレオリオがいる、遥か後方。
二人はヒソカに襲われていた。



「君達、まとめてこれ一枚で十分かな。」
「早くしろよ、ヒソカ。試験官見失うぞ。」
「わかったよ。」



返事をしたと同時に大勢いる男達にトランプを持って切り込んでいった。
一匹、ケイのほうに突進してきた。



「死ねー!!」
「たっく、ウゼーな。死ぬのは、お前だ。」



向かってきた男に、袖から出したと思われるナイフで、男の首を斬る。
血は飛び散ったが、ケイには一切返り血はついていない。



「久しぶりにみたよ。君の殺ってるとこ。」
「うるせーよ。残りも早く片づけろ。」
「わかったよ。ケイ。」



ヒソカが殺していくうちに三人だけ残った。
近づいていくにつれ、緊迫感が増す。
三人はどうにか逃げる方法を思いついたようで、間をつかむと三人は一斉に別々の方向へ走って言った。
そんな獲物にヒソカは何を思ったのか、十秒待つと言い出した。



「おい、ヒソカ! これ以上詰まんなかったら、チガウ奴狩るからな!」
「それは困る。その中に合格者が居たら、大変だからねぇ。」
「早く終わらせろや、その試験官ごっこ!」



会話しているうちに、逃げたはずの長身の男――レオリオが戻ってきた。

ぼーっと二人のやり取りを眺めながら、ケイは前方からくる気配に興味を持った。
ヒソカがレオリオに掴みかかろうとした時に、ヒソカの顔に釣竿の重りがクリーンヒットした。



「おお、ナイスヒット!」



ケイもこの動きには感心した。



「ありゃ、二人とも合格だな。」



また、ヒソカがひと悶着やっているのを長めていると、ヒソカの携帯が鳴った。
ケイには電話の声が誰だか分かった。


「OK、すぐ行く。」
「ケイ、もうすぐ着くってさ。」
「あぁ、それよりコイツどうすんの。」
「もちろん、ボクが運んでいくのさ。」


ゴンを残して、ケイとヒソカは二次試験会場に向かった。







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