召集 ようこそ生徒会へ2 その後
約束どおりケイは約三時間後に生徒会室にやって来た。
――コンコンッ
「誰だ?」
“誰だ厳粛な役員会議を妨害する奴は”と言わんばかりに、ルックの眉間に皺がよる。
「ちわー、ケーキをお届けに来ましたー。」
ガッチャという音と共に、小さな台車を引いたケイが扉を開けて入ってきた。
「…あぁ、なんだケイか。どうしたんだ?」
(ルック先輩ってケイ先輩と知り合いなんだ…。)
「会長のお呼びだしさー、ねーさん、ウテナねーさーん。」
箱を積んだ台車を部屋の中に入れて、ケイが会長室のウテナを呼んだ。
会長室のドアが開いて、会長のウテナが出てきた。
「あらぁ、遅かったじゃない。待ちくたびれたわー。」
「そりゃ悪かったですね、これだけの人数分作るの大変だったんですよ。」
そういいながら、ごそごそと積んだ箱の中からごそごそと作業し始めた。
「マチ、皿とフォーク出してくれるかしら。」
「りょーかーい。」
ウテナに言われ、マチは部屋の食器棚へ向かう。
「はいよ、ケイ。」
「おう、サンキュー。」
マチから皿を受け取って、ケイは箱の中身を出し始めた。
箱の中身は………ケーキ。
ふわっと部屋中に独特の甘い香りが広がる。
(わぁ、ケーキだぁv)
は思わず、声を出しそうになってしまった。
「ケイ様特製シフォンケーキだぜ〜。味わって喰えよな!」
――ガチャッ…
行き成り、生徒会室の扉が開いた……。
「うてなねー……ケーキじゃん!!」
入ってきたのは、灰色の髪をした男子生徒だった。
(……誰かな?)
そして入ってくるなり、ケーキに飛びついた。
「これっ、もーらいv」
「あ、それは僕のだぞ、英!!」
奪われたケーキはどうやら、リアの分だったらしい……。
「いいじゃん、一杯あるんでしょ?」
英と呼ばれた少年はしれっと言い返した。
「そうだ会長……ここに三つぐらい余って……。」
リアがゆっくり後ろを振り返ると、ウテナがナプキンで口を拭っていた。
「ごちそうさまでした。」
ニッコリと一度微笑んで、奥の会長室に帰っていった………。
紅茶よろしくねと言い残して。
「……………………そ、そんなぁ……。」
「あ、リア先輩……私ので良かったら、食べますか?」
は少し食べちゃいましたけどと付け足して、リアに皿を差し出した。
「ちゃん、こんなノリツッコミ野朗に優しくすることなんてないよ?」
の行く手にケイが立ちふさがり、が差し出した皿をやんわり押し戻した。
「え、でも……。」
「大丈夫、大丈夫。後でオレがなんか与えておくから。」
がリアの方を見ると、寂しそうな後姿が目に入った。
哀れ、リア……!
「ねぇ、ケイ。シフォンもっと無いわけ?」
「何しにきたの?お前。」
END
お付き合いありがとうございました^^
以下、後書きのようなものです。
会長は何時でも何所でもマイペースな方です。
そして、シフォンケーキを三つ四つ食べたんです。
ちなみに英は「はなぶさ」と読みます。
どっちも某Kのオリキャラです。
因みにはなくんはウテナ姉さんの弟くんです。
2006/05/08 Ryuga Naoto