――人はソレを底無しという――














――ピンポーン

平凡な来客を知らせるチャイムの音…


「ん?誰かみたいだな…」



――ピンポーン

それは3人の家に響いた…


「はいはーい。何方さまですかー?」



――ピンポンピンポンピンポーン

……どうやら来客はセッカチな人物らしい……


うるせーよ!!!!一体何所のドイツだっ!!!!




――ガチャッ



ここの住人の一人―セナ―はチャイムの連打に半ば切れながらドアを開けた。



「やぁ、セナ。オレだよ!オレ!!」

「…………ぅゎぁ…。」



――バタンッ!!

開いたと思ったら、急にドアを閉められてしまった。
そしてまた「開けてくだせぇーお代官様ぁ!!」(by哀れな農民A)と言わんばかりにチャイムの連打が続いた。


その行為に苛々しながらもセナは嫌々ドアを開けてやった……。

そしてチャイム連打の犯人と目が合った。



「いい加減にしろよ…。たくっ何のようだって言うんだ……クロロ。」
「そんな言い方酷いじゃないか、セナ。折角訪れたって言うのにさ。」
「ありがた迷惑だ…。用件はないな。さっさと帰れ!!!!!このヘタレがぁ!!!!!!」



クロロを締め出そうと思い切りドアを閉めたが、そこは幻影旅団の頭…既に部屋の中に侵入していた。


そしてクロロは言った。



「ケーはいるか?」



セナはその言葉にニヤリと笑った…。
もちろんクロロの見ていない所で。



――折角の休日を潰されたんだ…償ってもらおうじゃねーか…。



セナはついさっきまでオンラインゲームをしていた。
丁度キャラのレベルが上がって、ボス戦をしていたのにぃ!!!!
クロロに邪魔され、中断するしかなかった……。


セナの恨みは凄まじいぞ!!!クロロ!!!!






「ケーに用があるんだが…いるか?」




さっきからずっと黙っているセナに少し不安になりながらも、尋ねるクロロ。




「ケー…今居ないケド…いる場所なら知ってるぜぇ…?」
「ホントかぁ!?」
「うん。俺、ウソ吐かないし。」
「そうだなぁ!!」




そんなに簡単に信じちゃっていいですかぁ!?
何時もの冷静さは何所行ったんだ!!オマエ!!!!




「ちょっと仕度してくるから待っててよ。」
「わかった。出来るだけ早くしてくれな!」
「…はーいはいはい。」
(見てろよ!!このヘタ・ヘタ男が!!!)※←は「へた・へたお」と読みます。





数分後、セナの仕度は終わり下に降りてきた。
今日はセナ以外家に居ないらしく、出るときには鍵を掛けていた。




「よし、準備完了。」
「じゃぁ、早速案内してくれ!!」
「りょーかい。」




















「…セナ…ケーは本当にココにいるのか…?」
「うん。そーだよ。」






セナに案内されるまま、クロロが連れてこられたのは飲食店が立て並ぶ通称「食いだおれ街」である。
2人の目の前には「らあめん大将軍」と書かれた一件の店。



「ホントっーにココなんだな?」
「そーそー。」



事の重大さを現すかのようにクロロの声は強張っていた。
それに対してセナは軽く返事をする。



セナは何食わぬ顔でラーメン店に入っていった。



「いっらしゃーい。セナのダンナじゃないですか!!」
「大将久しぶりー。」
「今日は何にしますか?」
「んー確か新メニューだしたんだよな。じゃぁ、ソレ2つね。」
「サービスで大盛りにしときますね!」
「おっ、サンキュー。」



セナはこの店の店主――セナは大将と呼んでいた。――とカウンター越しに話していた。
サービスでラーメン大盛り……かなりのお得意様のようだ。




「で…ココの何所にケーがいるんだ?」



クロロは痺れを切らしたように言った。



「…あれ?オレそんなこと言ったっけ?」
「なっっ!!!!」
「いや、てっきりさっき『ココが本当にラーメンの美味い店か?』って聞かれたと思ったんだよねー。」
「…………。」
「やけに真剣に聞くもんだから、オカシイとは思ったんだよねー。」
「………っっ……!!!!!」



クロロ・ルシルフル 26歳 独身 またもや男泣き!!!!!(この前より項目が増えたよ!)

この男…完璧にヘタレに成り下がりましたぁー。
セナにまでからかわれちゃぁ、お終いでしょ……。



クロロが絶望に打ちひしがれていると、タイミング良くラーメンが運ばれてきた。



「おまちどー!!」
「わぁ!今度のも美味そうじゃん!!ほら、クロロ。早く食わないとのびるぜ!」
「……あぁ……。」






「ゴチ!!思った以上に美味かったぜ、大将!!」
「ダンナにそういって貰えると励みになりますねぇ!!」


「よし、存分に食ったことだし。クロロー行くぞー。」
「…あぁ…。」



そして店を出るときセナはこんなことをさらっと言ってのけた。



「もちろんお前の奢りだからなー。お金払っといてね?」






しかもお得意に子悪魔スマイル付きで――。











その後同じようなパターンでクロロは焼肉、焼きそば、焼きうどん、アイスクリーム、パフェ、ケーキ、ラザニア、グラタンその他沢山を奢らされた………。



そして今はセナが中華まんを頬張っているところだ……。
おなかきつーいと言ってはいるが、本人から満腹感というモノが全く感じられない……。
アレだけの食べ物一体何所に消えたというのだろうか――。

やっぱりブラックホールなんだろうか…。
やや失礼なことを考えてみるが真相など解るはずもない。



クロロは考えるのを諦め、当初の目的を果たそうと思い立った。




「セナ…いい加減案内してくれ…ケーは一体何所にいるんだ……。」



まさか誘拐されたのでは!? ありえない考えがクロロの頭の中を過ぎる。



「…ケーなら…。」
「ケーなら?」

思わず唾を飲む。


「ウチに居るけど?」
「…あぁ…そうか…ウチか………ってっ!!!!家ぇえ!!!!?????」



セナがあまりにも素直に答えるので、一瞬納得しそうになってしまった……。



「そう、ウチにいるけど?」



セナから語られた衝撃の真実!!

でも、確か家を出るとき……。



「でもお前、家を出るときに鍵掛けたじゃないか!!」
「あーアレ?あんなのクロロを嵌める為に決まってるじゃん。」
「だ、騙されたぁー!!!」
「人聞きの悪い。俺は嘘吐いてないぜ?」
「…うぅ……。」




――ガビーン…



古典的な効果音だが、今のクロロにはピッタリだ。





「じゃぁ、今日は奢ってくれてありがとねー。バイバーイ。」









――やっぱクロロはヘタレだな。




セナの中でクロロはヘタレと位置づけされた。








その後



クロロは真っ白になって発見されたとか……。

誰にって?


それはこんな団長をお守りをして気苦労絶えない幻影旅団の皆さんですよ。







今回の教訓
ゲーム中のセナにちょっかいを出してはいけない…。
もしも出してしまったら、貴方は確実借金王になれるでしょう―――。








04/26/05 Ryuga Naoto
06.04.08 加筆修正



sqでキリリクとして書いたものです。
読み返して思った…中盤のセナの口調がキルアっぽい!