仲間も三人に増え、いよいよ鬼ヶ島に向かいます。
竹取桃太郎姫伝説 3
舟がギシッギシッっと音を立てて進んで行きます。
勿論漕ぐのはヒソカです……+
「ていうかさ、何でセナは鬼退治したいわけ?」
舟に揺られてしばらくするとイルミが口を開きました。
「んー……何でだろうねぇ…。」
「何でって理由もなしに鬼退治に行くのか…?」
クロロが冗談まじりに笑って言いました。
真剣なセナの顔からするとどうやらソレは真実のようでした。
「それに一人旅って憧れてたしー、お兄ちゃんと山で暮らすのも退屈だったからぁー。」
「ふーん。お兄さんがいるんだ。(ヤバいな。)」
「そういえばきびだんごもお兄さんが作ったんだったな。(シスコンは手ごわいな。)」
「へぇーお兄さんが……。」
「「「イヌは喋るな。」」」
―ズビシィッ!!
「ワン……。」
「「「よし。」」」
「島見えてきたぁー!さぁー、鬼と仲良くなるぞー!!」
「「え?(もしかしなくてもそれが目的!?)」」
いままでのちょっぴりシリアスな雰囲気は何だったんだ!?
兎に角鬼が住む鬼ヶ島まであと少し………。
鬼ヶ島は恐ろしい島だ。
誰かがそう言っていたのを聞いた事がある。(多分テレビで)
鬼ヶ島には沢山の宝物が溢れているそうだ。
そして誰一人鬼の姿を見たことがないと云うのだ…。
(それは気になるよなぁー。)
セナがそんなことを思っているうちに一行は鬼ヶ島に上陸しました。
島は5p程の小さな鬼たちで溢れており、陽気に歌など歌っていました。
(もしかして……鬼ヒソミン?)
―イルミ正解。
鬼ヒソミンたちはとてもフレンドリーでセナたちを自分の大将の城に招きました。
鬼の大将の城…とういか屋敷は物凄く大きいものでした…。
それはもう中くらいの山一個分!(妙な例えをするな)
どんどん中に進んでいくと玉座でしょうか、大きな椅子が見えていました。
イスには某鬼娘のような格好の女が座っていました。
「…どうした?客か?」
小さな鬼ヒソミンはこっくりと頷きました。
「そうかそうか……。」
ラ●ちゃんスタイルの女は視線を下から上(通常の位置)に戻すとセナと目が合いました。
「な、なんて可愛らしい子なの!!??」
「「「ッ!?」」」
「ほえ?」
●ムちゃんスタイルの女は玉座から思い切り走ってきました。
女は両手を広げるとセナを思い切り抱きしめました。
――ギュッ
「「あぁあーーー!!」」
「ぬ?」
「ねぇ、貴方此処で暮らさない?」
「えっとー…」
「美味しい食べ物も沢山あるわよv」
女の口の端がニヤリとつりあがりました。
「えっ…ほんっ」
「「ちょっと待ったー!!」」
喋りだそうとしたセナの口を塞いで、イルミとクロロが叫びました。
「?」
女はきょんとしました。
「何、貴方達。文句でもあるの?」
「大有りだね。」
イルミが鋭い目つきで女を睨みつけました。
「その子はオレと結婚の約束をしてるんだ。婿であるオレに話を通すのが筋だろう。」
腕組みをしながらクロロが仁王立ちで意見しました。
「…ぼっ」
「「「「イヌは喋るな。」」」」
―ズビシィッ!!
「……わっワン。」
「「「「よし。」」」」
「で、何の話だっけ、鬼の大将さん。」
「言い忘れてたわね、私の名前はシャナよ。鬼のシャナ。ようこそ鬼が島へv」
「オレはキジのイルミ。で、こっちがサルのクロロ。」
「………。」
って……なんでみんな自己紹介しあってるの!?
「で、あんたが拉致しようとしたこの子が……。」
「セナっていうんでしょう?知ってるわ。」
満面の笑みを浮かべてシャナは2人を見ました。
「「なっ、何で知ってるんだ!!」」
「わー、凄い。シャナは超能力でもあるの?」
――ズベェッッ!!
「あれ?何こけてるの、2人とも。」
「セナ。少しは不審がれ。明らかにおかしいだろ。初対面なのに名前知ってるって。」
苦笑を浮かべてクロロがいいました。
「え?だって超能力でしょ?おかしくないよ?」
セナはどうやら、勝手に超能力だと信じきっているらしい。
でもシャナ本人は一言もそんな事は言っていない。
(服のいたるところに名前が入ってるのに気付かないのかしら、あの2人。)
シャナは心の中で笑いが止まらなかった。
「………随分話が飛んだが、本題に戻ろうじゃないか。」
「そうだね。」
「何やっても無駄よ。私にはこの子のことが手にとるようにわかるから。」
「わーシャナすっごーい!」
((畜生、鬼め!!セナを独り占めしやがって。))
(ふふふふっ、勝てるものなら勝ってごらんなさい。)
(くっそーーー。)
――ぐ〜
「「?」」
「あら。」
「……お腹空いたー。」
セナの腹の音が部屋中に木霊しました。
「じゃぁ、セナの歓迎会も兼ねて宴を開きましょv」
「わーい、ご馳走だーvv」
「おいっ、まだ話はっ!」
クロロが言い終わる前にシャナは両手をポンポンと叩いて鬼ヒソミンたちに命令をだしました。
すると、ご馳走の乗った皿を持ち上げた鬼ヒソミン達が次々とやってきました。
さぁ、楽しい宴の始まりです。(マテ)
「オレたち…何か流されてないか……?」
「……どんどん鬼のペースに嵌ってきてるね…。退治はどうでもいいから早く帰らないと。」
楽しい宴の席に似合わず、イルミとクロロは杯片手にこそこそと話をしていました。
中央ではイヌが芸をやらされていました。(何の脈絡もない;)
こーして、セナ・イルミ・クロロの3人は鬼が島で楽しく過ごし、
数日後兄の下に帰るというセナを引きとめようとシャナの泣き落とし作戦も虚しく、セナたちは帰って言ったのでした。
「だって、お兄ちゃんの料理が食べたくなったんだもん。」
鬼がその後についていったのはまた別のお話し―――。
END?
「ぼ、ボクの出番は……」
「「「「「イヌは喋るな。」」」」」
―ズビシィッ!!
「…ワン……。」
「「「「「よし。」」」」」
+あとがき+
某方の希望により、出るはずもなかったヒソミンが登場。
よかったね、愛されてるねヒソミン!!
シャナの壊れっぷりが凄いですね;;
しかも今回は性悪だし。
ヒソカは相変わらすですね。
最後は全員から言われちゃってるし……。
最後の終わり方が今一ですが、楽しんでいただけたでしょうか……?
(因みに突っ込みは全員でやってくれてますね)
12/06/05 Ryuga Naoto