Act.45










(この男、何時の間に!?)



「美しいだろう……私の妻なんだ…。」


そう言いながら、男は徐々にケイとの距離を縮めていった。

“私の不注意で亡くしてしまったがね”と眼鏡を押し上げながら…。




「アンタがボスかい…。直接会うのは初めてだな。」


ゆっくりと距離を縮めてくる男に銃口を向ける。


「改めて初めまして、オズベルク君。セナの実の父、イエガー・クレイシアだ。」


イエガーはお得意の笑顔で微笑んだ。


「…クレイシア…大人しくセナを返せ…。」

「それは無理なお願いだよ、君。アレは私の大事な一人娘なものでね…。」

「…ッ…そんなことは知っている!!」

「お引取り願おうか。」

「“それは無理なお願い”だ。」



「…ふふっ…なら、し……っ!?」




イエガーが言葉続けようとした同時に、サイレンらしきものが響き渡った。



「何事だ!?」

『ボスッ!お嬢様の部屋に何者かが侵入したようです!!』

イエガーが声を荒げると、天井からモニターが降りてきた。
恐らくセキュリティールームからだろう。

(シャナかっ!?)

「もう一人の方か?!」

『い、いえそれが……侵入したのは雇ったハンターのようでして…。』

「何だと!!何をやっている!さっさと捕まえろ!!」

『はっ!!』


モニターの画面が切れた。



「……どうやら、仲間が増えたようだね…。」

「さぁーな。生憎別行動なもんでね。」








+ + +







「…ここね…。」



シャナはようやく目的の部屋に辿り着いた。


「さぁ、中に入って、セナ以外を全滅させてきて頂戴…?」
「………………。」


ドアを開けて、先程捕まえた男を中に入れた。


突然に侵入者に部屋の中に居た、男たちは次々に発砲していく。


「!?」


その隙にシャナはセナの元へと駆け寄った。


「シャナ!!」
「セナ…大丈夫…?」
「俺のことなんて、どうでもいいから!!早く逃げて!」
「…何を言ってるのセナ…?」

「ここに居たらアイツに殺される!!もう、誰かが死ぬなんてやだぁ!!」
「大丈夫、私も…もちろんケーも死なないわ…?落ち着いて…?」


セナの頭を撫でながら、シャナはセナを抱きしめた。


「……うっ…くっ……。」



セナが泣き出す頃には、部屋はしんとなっていた。










+ + +









「…………………。」

「…………………。」


ケイとイエガーの2人は、ただただ向かい合っていた。

先に沈黙を破ったのは――イエガーの方だった。



「今のセナは、ダフネに瓜二つだ…。」

「………………。」
「ダフネが死んだのは、私の所為だ。いや、私が殺したようなものだな…。」


自嘲的な声で淡々と続ける。


「だが、愛していたのに……ああも簡単に喪ってしまうんだ………。」
「…愛してたんだな……奥さんを…。」
「…当たり前さ、オズベルク君。妻を愛さない夫がこの世界の何所に…?」

「……セナを…セナをどうするつもりなんだよ…アンタは……。」


「…どうするだと?決まっているだろう、そんなこと。2人で暮らすんだ。」

「……セナはアンタを憎んでるんだぜ?…自分の母親を殺したってな。」

「確かに死なせたのは私の責任だ…だが…あれは…!」




――アレは今から九年前……セナが十歳の時に起きたことだった。





























NEXT→





次回はきっと回想にいけると思います…。

「見殺し」を「殺し」に変えました。
じゃないとちゃんと辻褄あわせが出来ないことに気が付きまして……。
(直ってなくても気にしないでくださいORZ)

年齢の計算はめんどくさいですorz

ていうか、なんでケーくんはパパと立ち話したままなんでしょうか…。
殺しちゃったら済んじゃうのにね。(オイ
まぁ、きっとケーくんなりに理由があるんだろうね。
うん…そういうことにしておこう。(ぇ

2006/05/12 Ryuga Naoto