Act.44
店の地下に侵入してから、どれくらい経ったのだろうか…。
シャナは只管走っていた……。
セナは無事なのだろうか―――。
そればかりが頭の中を支配する。
目的は十中八九、自分達の抹殺。
だったら人質のセナに危害を加えることはまず無いだろう。
(ケーが後ろからことから考えると、取り囲まれたみたいね…。)
「誰ッ!?」
――ガチャッ
シャナは突然立ち止まり、銃口を向けた。
すると、ラフな格好をした男が一人現れた。
「ようこそ、侵入者さん。」
(……そこそこ強いみたいね…。)
「まぁ、そんな固くならないでよ。」
にこりと人のいい笑みを浮かべて、男は話しかける。
「…私、急いでるの。大人しく退いてもらえないかしら。」
「それは無理な話ですってお嬢さん、貴方を始末しないと報酬が貰えないんですよ!!」
語尾を強めたかと思うと、男は両手にナイフを構えてシャナに向かってきた。
――ダッダッダッ
「全然当たってないですよぉ!!」
一発目と二発目は両側の壁に、三発目は男の腕を掠めた。
――シャッ
ナイフを紙一重で避ける。
「それはどうかしら…。」
――守護者が弄ぶ命の輪<デステニー サークル> 発動!!
「ッ!?」
「これで身動きが取れないわね。」
男の身体は壁から生えてきた、太い蔦によって拘束されていた。
「な、なんだコレは!?」
「植物よ。あの銃弾には蔦科の植物の種が仕込んであったのよ。」
「くっ…!」
「動いても無駄よ。もちろん念を使っても無駄。どんどん締め付けは激しくなるだけだから。」
「さぁ…連れて行って貰いましょうか…セナの所に……。」
左手で男の頬に手をそえて冷たく微笑んだ。
+ + +
(な、何なんだ、この部屋は…!)
先程男から聞き出した道を走っていると、今までドアなど一つも無かったのに木製のドアが有った。
(…こんなのあるなんて聞いてねぇーぞ。)
ここにセナが居るとも限らないので、ケイはその部屋に入ってみることにした…。
どうやら、この中には人の気配は全くないようだ――。
一気に扉を開けて、部屋の中に転がり銃を構える……。
(やっぱり誰も居ないか…。)
再度確認して、銃を降ろした。
壁に目をやると、大きな絵が飾られていた。
綺麗な女性と小さな女の子が描かれている。
(……肖像画か?……ん?)
だが、見覚えがある顔だった…………。
(セナ…か…?このちびっちゃいのは。…だったら、こっちの人はお袋さんか?)
「やぁ、良く来たね。ケイ・オズベルクくん…?」
「ッ!?」
バッと声のする方へ顔を向けると、部屋の出入り口に一人の男が立っていた。
(何時の間に…!!)
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補足説明
最初のシャナの念能力の方は自分がその植物を育てることで条件をクリアしています。
いやぁ、ケイくん注意力散漫してますねー(‐‐;)
あーそれにしても最初はシャナさん捕まる予定だったのになぁ…。
次回はご対面☆ですなぁ(いやだな、オイ)
2006/05/12 Ryuga Naoto